「光と風」を如何にとり入れるかは、建物を設計をする上で重要なことだと思います。最近はコロナ禍で換気が特に注目されていますが、換気とはまさに風をとり入れることです。
では、やみくもに窓を増やせば良いのでしょうか? 例えば一面ガラス張りの建物の室内は明るすぎて不快なことがあります。また、夏も冬も窓を通して大きな熱の出入りがあるので、窓が多いと冷暖房が効率的に使えません。窓は多ければ良いわけではなく、適所に必要なかたちで配置するべきです。
冒頭の画像は、当事務所で設計した「千成幼稚園」の南北断面図です。北側の里山から吹きおろす南北方向の風が、高窓と吹抜けのある中廊下をはさんで建物の中をめぐるように設計されています。また、南側の1階保育室の大きな窓では、軒の深い「大きな庇」が夏の強い日差の進入を防いで、冬の暖かな光をとり入れます。中廊下の高窓からの光は、中廊下とともに北側の保育室も明るく照らします。すべての窓は、それぞれの役割を期待して配置されているのです。
もちろん、法規上必要な窓もあります。窓からの景色や建物の美観上の理由での窓配置もあります。設計打合せを通じて、様々な面から丁寧に検討した上で、最適な窓の計画をご提案できればと思います。