一級建築士事務所 エイチ・アーキテクツ

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玄関

マンションリノベーション_玄関

 当事務所HPに掲載させて頂いております「布田のマンション改修工事」について、改修前の写真もあった方がわかりやすいのではとお施主様からご親切なアドバイスを頂きました。

 築40年弱のマンションをすでに不動産業者さんが一通り改修して販売された物件の再改修のご依頼でしたので、改修前も新品同様ですが、お施主様仕様にカスタマイズされる様子がお分かり頂けるかと思います。

 玄関・寝室・LDKの順に3回に分けてのご紹介となりまして、第1回は玄関です。

 玄関はマンションの場合、特に古いマンションでは小さくて収納が少ない傾向にあります。改修前の状態では、90cm四方程の土間に奥行35cm程の靴箱があるだけでしたが、廊下を一部つぶして周辺の部屋の壁位置を調整し、靴箱を廊下側面へ移動することによって、約1.5m四方の玄関土間と登山がご趣味の旦那様のためのアウトドア収納を玄関土間脇に設置しました。

 また、廊下床のフローリングは無垢材として、廊下突き当りのドアはカントリー調の輸入ドアへ変更の上、特注色で塗装しています。改修前は新品であっても無味乾燥な印象でしたが、改修後は質感のある暖かい個性的な玄関になったのではと思います。

▶ 布田のマンション改修工事

門扉は不要?

「西宮の家」の設計 ⑬

 住宅を設計する際に、お施主様と一緒に様々な検討をします。「西宮の家」を題材に、実際にどのような提案をさせて頂いているかをご紹介するシリーズの第13回です。

 2023年は卯年ですが、「卯」の字は門扉が開いた形とされ、天門が開いて万物が繁茂することから五穀豊穣、家内安全を意味する縁起の良い文字だそうです。最近の住宅はコストダウンのためか、門扉や塀を簡略化したり省略することも多いようですが、門扉や塀を設ける理由としては以下が挙げられます。

1)防犯・防護
2)敷地境界を明確にする
3)建物と一体の外観デザイン

 敷地いっぱいに建物を建てた場合は建物まわりに土地がほとんど残らないので、門扉や塀をつくらない選択肢もありますが、冒頭写真の「西宮の家」では角地で車が追突する危険があることや、三角敷地の突端に塀で囲った小庭を計画すること、建物と塀を一体として大きく見せることなどが理由で門扉と塀を計画しました。門扉は玄関ドアと一緒に建物のエントランスを演出するので、既製品の門扉ではなく特注のアルミ門扉を塀上のアルミルーバーと共に製作しました。通常の門扉は玄関ドアへ至る前にありますが、「西宮の家」の玄関ドアは道路に直接面しているので、この門扉は通用門として機能しています。

→ 西宮の家

玄関は室内の第一印象

「西宮の家」の設計 ④

 住宅を設計する際に、お施主様と一緒に様々な検討をします。「西宮の家」を題材に、実際にどのような提案をさせて頂いているかをご紹介するシリーズの第4回です。

 建物の外観は周囲の環境も考慮したデザインとなるのに対して、室内は完全にプライベートな空間です。とりわけ玄関は建物に入る最初の部屋で、「室内の第一印象」となるので、建てる人や会社をよく表現する空間となるように心がけて設計しています。

 「西宮の家」のお施主様ご夫婦は美術館学芸員でいらしたので、玄関も美術館展示室のような空間を提案しました。土間も含めて5畳ほどの大きさで、一般的な分譲住宅の玄関と変わらない広さですが、塗装壁と特注製作の収納家具やガラスの飾り棚で「展示室のような非日常性」を演出しました。奥の収納家具の上にあるのは旦那様ご所有のマルセル・デュシャン作品レプリカで、ガラス棚に飾ってあるのはご夫婦が担当された展覧会のカタログです。

 初めて家に来られた方は、皆さん玄関に入られると驚かれるそうです。ガラス棚のカタログをご覧になったり、収納家具の上の作品についてお話をされてから、濃緑色の壁の中央奥にある階段を上がって、2階のリビングへと導かれます。

 壁の塗装について聞かれることも多いですが、シックハウスの原因となる揮発性有機化合物(トルエン・キシレン・ホルムアルデヒドなど)を一切含まない米国製塗料なので、臭いはほとんどありません。日本で濃緑色を選ぶと抹茶色になってしまいがちですが、「和風でなく、濃いけど明るい緑」を豊富な色見本の中からお施主様と一緒に選択しました。緑を選んだ理由は、狭小敷地だと庭が無く緑が少ないので、「自然を想起させる色としての緑」という考えもありました。

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コンクリート造ですか?…いえ、木造です

「西宮の家」の設計 ③

 住宅を設計する際に、お施主様と一緒に様々な検討をします。「西宮の家」を題材に、実際にどのような提案をさせて頂いているかをご紹介するシリーズの第3回です。

 前回のブログで、「西宮の家」では駅からの往来が多い南側道路から玄関ドアが見えないように「コンクリートの目隠し壁」を設置したことを書かせて頂きました。

 敷地いっぱいに建物を建てる時は、玄関と道路の間に十分な距離がとれないので、玄関のプライバシーをどのように確保するかが問題となります。

 「西宮の家」の場合は、最寄り駅が西側で、東側は公園と川で人の往来がほとんど無かったので、玄関の西側に衝立(ついたて)のような目隠し壁を設置しました。また、目隠し壁は重厚感のある「打ち放しコンクリート」として、玄関庇は屋外通路の庇と一体化した「大きな庇」とすることにより、風格のある玄関となるように演出しています。

 1階の木造の外壁は濃灰色の鋼板で覆われて、このコンクリートの壁だけが露出しているので、「コンクリート造ですか?」と聞かれることがあります。実は、計画当初は1階はすべてコンクリート造で検討していましたが、コスト調整の結果、このコンクリートの壁以外は木造となりました。

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