先日地鎮祭に設計者として参加した際に、神職さんご講話で「地鎮は古代ヨーロッパでも見られる考えですが、日本では土地神様だけでなくあらゆる神様をお迎えしている」とのお話がありました。思い出されたのは、古代ローマ帝国建設の背景思想であるゲニウス・ロキ(場所の守護霊)ですが、日本では土地神様以外の神様をもお迎えしているという神道の寛容さに感銘しました。
八百万(やおよろず)の神である自然と親しむ日本建築は、キリスト教建築の天上の神とつながる垂直性とは対照的に、水平な広がりで自然と一体となるのが特色です。現代建築の周囲にあるのは、もはや自然だけではなく複雑ですが、「土地の文脈を読み解いて、その土地ならではの提案をすること」が設計者としての「地鎮」であると考えています。